吾輩は鱒である 第1章④

 吾輩の監視員は滅多(めった)に吾輩と顔を合せる事がない。職業はプロタイヤーだそうだ。仕事から帰ると終日河原に行ったぎりほとんど家にいる事がない。家のものは大変な釣りキチだと思っている。当人も釣りキチであるかのごとく見せている。しかし実際はうちのものがいうような釣りキチではない。吾輩は時々忍び足に彼の釣りを覗(のぞ)いて見るが、彼はよく昼寝(ひるね)をしている事がある。時々フライが刺さったパッチの上に涎(よだれ)をたらしている。彼は胃弱で皮膚の色が淡黄色(たんこうしょく)を帯びて弾力のない不活溌(ふかっぱつ)な徴候をあらわしている。その癖に大飯を食う。大飯を食った後(あと)で太田胃散を飲む。飲んだ後でフライロッドを振る。二三匹も釣ると眠くなる。涎をフライの上へ垂らす。これが彼の毎夕繰り返す日課である。吾輩は鱒ながら時々考える事がある。プロタイヤーというものは実に楽(らく)なものだ。人間と生れたらプロタイヤーとなるに限る。こんなに寝ていて勤まるものなら鱒にでも出来ぬ事はないと。それでも監視員に云わせるとプロタイヤーほどつらいものはないそうで彼は友達が来る度(たび)に何とかかんとか不平を鳴らしている。

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フライ地蔵

あまりにも釣れないため、ボーズを通り越してお地蔵さんになってしまいました.../(^o^)\ しかも、サカナが釣れない主原因は諸所の雑用が多くて、ほとんど釣りに行けないという.../(^o^)\

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