平凡なフライマン(4)【最終回】

現在の熟練者の中に、市井(しせい)の平凡なフライマンや釣り人の心にも達せぬ浅はかなひとが多いのはどうしたことだろう。「美しさ優しさ」を軽蔑誤解して、口に猛々(たけだけ)しいことをいうのは笑止なことだ。 遠き旅路にゆく人は … Continue reading "平凡なフライマン(4)【最終回】"

Read More

現代フライとは? (7)【最終回】

  近ごろの毛鉤界では、ロングリーダーと云えば、何かもう、絶対のように考えられているが、私はおかしくて仕方がない。2ちゃんねるなど、自分をシロウトと云い、ロングリーダーを一流と云い、シロウトの中には僕も含まれて … Continue reading "現代フライとは? (7)【最終回】"

Read More

吾輩は鱒である 第1章【第1章最終回】

バスプロの黒はその後、鰭なしになった。彼の光沢ある鱗は漸々(だんだん)色が褪(さ)めて抜けて来る。吾輩がアワビよりも美しいと評した彼の眼には水カビ病が一杯たまっている。ことに著るしく吾輩の注意を惹(ひ)いたのは彼の元気の … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章【第1章最終回】"

Read More

吾輩は鱒である 第1章⑯

昨夜(ゆうべ)は僕がタイイングを行って到底物にならんと思って、そこらに抛(ほう)って置いたのを誰かが立派な額にして欄間(らんま)に懸(か)けてくれた夢を見た。さて額になったところを見ると我ながら急に上手になった。非常に嬉 … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章⑯"

Read More

吾輩は鱒である 第1章⑮

プロタイヤーといえば吾輩の監視員も近頃に至っては到底(とうてい)タイイングにおいて望(のぞみ)のない事を悟ったものと見えて十二月一日の日記にこんな事をかきつけた。 ○○と云う人に今日の会で始めて出逢(であ)った。あの人は … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章⑮"

Read More

吾輩は鱒である 第1章⑭

「 アイサってけども何ワカサギ少し大きいぐれえのものだ。こん畜生(ちきしょう)って気で追っかけてとうとう滝つぼの中へ追い込んだと思いねえ」「うまくやったね」と喝采(かっさい)してやる。「ところが 御めえいざってえ段になる … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章⑭"

Read More

吾輩は鱒である 第1章⑬

或る日例のごとく吾輩と黒は暖かいプールの中でクルージングしながらいろいろ雑談をしていると、彼はいつもの自慢話(じまんばな)しをさも新しそうに繰り返したあとで、吾輩に向って下(しも)のごとく質問した。 「御めえは今までにワ … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章⑬"

Read More

吾輩は鱒である 第1章⑪

今でも記憶している。その眼は釣り人の珍重するアワビというものよりも遥(はる)かに美しく輝いていた。彼は身動きもしない。双眸(そうぼう)の奥から射るごとき光を吾輩の矮小(わいしょう)なる尾鰭の上にあつめて、御めえは一体何だ … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章⑪"

Read More

吾輩は鱒である 第1章⑩

我儘(わがまま)もこのくらいなら我慢するが吾輩は釣り人の不徳についてこれよりも数倍悲しむべき報道を耳にした事がある。 吾輩の川の下流に十坪ばかりのプールがある。広くはないが瀟洒(さっぱり)とした心持ち好く日の当(あた)る … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章⑩"

Read More

吾輩は鱒である 第1章⑨

これだけは誰が見ても疑うべからざる事実と思う。しかるに今監視員のフライを見ると、黄でもなければ黒でもない、灰色でもなければ褐色(とびいろ)でもない、さればとてこれらを交ぜた色でもない。ただ一種の色であるというよりほかに評 … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章⑨"

Read More

吾輩は鱒である 第1章⑧

「どうも甘(うま)く釣れないものだね。人のを見ると何でもないようだが自(みずか)ら竿をとって見ると今更(いまさら)のようにむずかしく感ずる」これは監視員の述懐(じゅっかい)である。なるほど詐(いつわ)りのない処だ。彼の友 … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章⑧"

Read More

吾輩は鱒である 第1章⑦

我儘(わがまま)で思い出したからちょっと吾輩の川の監視員がこの我儘で失敗した話をしよう。元来この監視員は何といって人に勝(すぐ)れて出来る事もないが、何にでもよく手を出したがる。フライを巻いて鳥の羽根を机の上に並べたり、 … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章⑦"

Read More

吾輩は鱒である 第1章⑥

吾輩は釣り人と同居して彼等を観察すればするほど、彼等は我儘(わがまま)なものだと断言せざるを得ないようになった。ことに吾輩が時々同衾(どうきん)する毛鉤師のごときに至っては言語同断(ごんごどうだん)である。写真撮影の時は … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章⑥"

Read More

吾輩は鱒である 第1章⑤

吾輩がこの川へ住み込んだ当時は、監視員以外のものにははなはだ不人望であった。誰に釣られても舌打ちをされて相手にしてくれ手がなかった。いかに珍重されなかったかは、今日(こんにち)に至るまで尾鰭さえつけてくれないのでも分る。 … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章⑤"

Read More

吾輩は鱒である 第1章④

 吾輩の監視員は滅多(めった)に吾輩と顔を合せる事がない。職業はプロタイヤーだそうだ。仕事から帰ると終日河原に行ったぎりほとんど家にいる事がない。家のものは大変な釣りキチだと思っている。当人も釣りキチであるかのごとく見せ … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章④"

Read More

吾輩は鱒である 第1章③

ここへ這入(はい)ったら、どうにかなると思って堰堤の崩(くず)れた穴から、とある瀬尻にもぐり込んだ。縁は不思議なもので、もしこの堰堤が崩れていなかったなら、吾輩はついに河原に餓死(がし)したかも知れんのである。一樹の蔭と … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章③"

Read More

吾輩は鱒である 第1章②

 この釣り人の網の中でしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらくすると非常な速力で運転し始めた。釣り人が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗(むやみ)に眼が廻る。胸が悪くなる。到底(とうてい)助からないと思っている … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章②"

Read More

吾輩は鱒である 第1章①

 吾輩(わがはい)は鱒である。尾鰭はまだ無い。  どこで生れたかとんと見当(けんとう)がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でバチャバチャ跳ねていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで … Continue reading "吾輩は鱒である 第1章①"

Read More